県南地域本部主催で、県南地域理事を対象に託送料金学習会を開催しました

 

 11月17日(金)に、グリーンコープ県南センター会議室で、グリーンコープ共同体より東原常務を講師に招いて、地域理事を対象に託送料金学習会を開催しました。
 初めに、重野美樹県南地域理事長が、「地域組合員総会では託送料金について、みんなで語り合いたいと思います。本日は託送料金について学ぶ初めての学習会ですので、お話を聞いて疑問等があれば、どうぞ質問してください」と参加者に伝えました。
 東原常務は、グリーンコープが「グリーンコープでんき」に取り組み始めてから調べた「託送料金」に関する事実や問題点などについて、資料に沿って話されました。

 

<東原常務のお話>

 

 福島では事故から6年以上経ちますが、まだ何万人という方々が自宅に戻れていません。まだ放射能が残っているという厳しい状況があるわけですが、実はもっと過酷な事態が起こる寸前だったということがわかってきました。4つある原発のうちの3つで炉心が溶け出して大気中に漏れましたが、そのうちの1つが大爆発の寸前だったのを、現場の社員の皆さんが命がけで止めようと全力を尽くされたので、なんとか大爆発はせずに済みました。しかし、もし大爆発していたら、無傷であった全ての炉心も溶け出して、放射能は東京を含めて東日本全体が今の福島の状況になっていたかもしれません。日本の半分近くが人の住めなくなるような状況になる寸前だったのです。そのような事実も知らされないまま、現在止まっている原発を再稼動させようとしているし、新しい原発を作ろうとする動きもすでに始まっているという状況です。
 原発のお金の話ですが、当初11兆円と言われていた東京電力福島第一原発の事故処理費用は、4年後には22兆円まで、ちょうど倍に増えています。場合によっては50兆円以上かかるのではないかとも言われています。また、もう二度と事故を起こさないようにと安全基準が厳しくなっています。原発を再稼動させるための安全対策費用は、当初全国の原発全部合わせて1兆円と言われていましたが、それも4年後には3.8兆円にまで膨らんでいます。原発は、建設、建設後の維持、廃炉という流れをたどります。運転が終わった後、何十年という時間をかけて廃炉を終わらせるのですが(その後何万年も放射能に汚染された物質を管理する義務があります)、安全基準を厳しくしたり、対策を万全にするためにと費用がどんどん増えていっています。国の財政が厳しい中、「託送料金」を使おうとしているということがわかってきました。
 2017年8月に経済産業省で日本のエネルギーを考える委員会が立ち上がりました。その委員会で、今から約10年後、2030年の日本のエネルギー構成をどのようにするのかを検討しています。東電福島第一原発の事故後、掛け声としては原発依存度を低下させ、原発に頼らないようにしていくということですが、実態を良く見てみると、2030年に日本のエネルギー全体で原発は22%程度の割合にしよう、と。22%は低く思われますが、実は22%を満たすためには、日本にある50基の原発全部を稼動しても足りません。50基の原発はかつて全て止まっていましたが、2017年11月現在4基再稼動しています。そのうち2基は鹿児島の川内原発です。2018年の年明け以降7基の再稼動が予定されており、そのうちの2基は九電の玄海原発ですので、九電は4基の原発を再稼動させようとしているのです。11基の再稼動に続き、さらに14基の再稼動が計画されています。そして、残りの25基を再稼動しても22%には足りないため、委員会では、「新しい原発を作るべきだ」という声を引き出し、その必要性を報道したりしていく可能性が高いと思われます。
 国民の気持ちとしては、事故後ほぼ一貫して「原発はもうなくしてほしい」という人が、「原発が必要である」という人の倍以上いる世論が続いています。「原発が必要だ」という人が約2割。「原発は絶対嫌だ」という人が約4割。そして約4割の人は、「どうしたもんかな」って考えている。だから、「話し合いをすること」と、「情報がみんなに届いていること」の2つが必要なことなんだと思います。

 原発の費用はすでに電気料金の中に入っていて、九電の電気を使っている人が電気料金として負担しているのが、「廃棄物処理費」や、「使用済み燃料の処理費」、「原子力施設解体費」等です。原発で働いている人の「人件費」や、「物件費」等も電気料金に含まれています。
 そもそも「託送料金」を理解する前提として、電気の自由化ということをご説明させていただきます。熊本に住んでいる人は、電気が欲しければ絶対に九州電力と契約しなければいけませんでしたよね。つまり、日本の電気は地域で1つの会社が独占していました。ある種その必要性もありましたが害悪もあり、これではやっぱりいかんということで自由化をしよう、と。電気を担う事業体がたくさんできていった方がいい。私たちの生活において、電話がそうでしたよね。昔は1社。今は何社かできて、各社がサービスを競うかたちで料金を引き下げたりしているから、電気もそうあるべきだという話は昔からあったんですが、電話に比べると20年くらい遅れています。
 ようやく2000年になって、一般小売り以外の大きい工場等に売る電気については、九電以外に「やってみようという会社があったら参入してもいいよ」、という仕組みになりました。その後10年たっても、小売りは一般消費者向けには一向に進まなかった。それが一気に進むようになったのが、残念なことに、2011年の東電福島第一原発の事故後です。2016年から一般家庭への電気の販売が九電以外も可能となり、グリーンコープも「グリーン・市民電力」として電気の共同購入を開始しました。大きく進みました。完成形態は2020年にやってきます。九州電力などの大きな電力会社が、「発電」、「送配電」、「小売り」の3つに分社化する予定です。これで自由化の完成です。
 こういう動きの中で、考えられたしくみが「託送料金」です。原発に頼らない電気を自分たちで発電をしたり、どこかから取り寄せたりして購入をしようと思う人たちが、ゼロから電線を建てて各家庭に電気を提供すると膨大な費用がかかってしまいます。そこで、大手電力会社が電線を全部網羅しているのでそれを使うことにし、借りる以上そのコスト分をお支払いしましょうというしくみで考えられたのが、「託送料金」です。ですから、2016年の4月に「グリーン・市民電力」が電気の共同購入を始めたその月から、請求書には「託送料金」がついています。
 グリーンコープは食べものの中身を全部調べますので、同じように「託送料金」はどんな内訳なのか調べました。すると、送配電のための費用とは思えない費用があることや、原発に使われる費用なのではないかと思えるものが見えてきました。昔からの九州電力の決算書や託送料金算定の資料など見せていただき、九電の方に質問もさせてもらいました。その結果、今の時点で疑問に思っていることは以下のとおりです。
 役員給与の総額10億円強のうち、託送料金分として5億5千4百万円で、割合は52.7%。送配電の費用だけで52.7%というのは割合が多いのではないでしょうか。修繕費は、託送料金分として2667億円。修繕費の総額が3742億円ですので、実に割合として71%。確かに、発電所よりも電線の方が膨大な施設がありますから、これぐらいかかるのかもしれませんが、「実際にかかった金額との比較等はしないので、71%というのが高いと思われても仕方がないです」というのが九電の説明です。
 「電源開発促進税」と、「使用済燃料再処理等既発電費」は原発に関する費用です。「電源開発促進税」というのは、発電所を作るための税金です。「使用済燃料再処理等既発電費」は、使用済み燃料をもう一回燃料化するためにかかる費用です。さらに、2020年から他に新たな原発に関する費用が付け加えられようとしています。「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」です。福島の、避難している人たちへの賠償費用は東京電力が負担し、東京電力を応援するかたちで他の電力会社も負担しています。それでも2.5兆円足りなくなるので「2.5兆円については国民全体から託送料金のかたちで貰うようにします」、ということが決められようとしています。「廃炉円滑化負担金」は、2020年以降自由化が進むと電力会社だけでは廃炉の費用を負担できなくなる恐れがあるので、廃炉をきちんとさせるためにも「全国民に負担してもらうようにしよう」というものだそうです。この2つを、「2020年から託送料金請求書の中に入れるようにしましょう」、ということが決められつつあります。
 全国の国民が電力会社に代わって負担するので、事実上税金に近いものです。税金は日本の法律なら国会で決めなければなりません。この一種の税金に近いような負担金がすべて経済産業省という役所の省令、大臣の命令によって決められるようになっていることが、おかしいのではないかと強く思います。
 国民全体で何かの費用を負担しなければならない時には、消費税のように国会で決められるということが大事です。東電福島第一原発の事故以降、膨大化する事故の対策費と原発の廃炉が見えてきましたから、この負担金の問題を本来なら国会で全部検討すべきだと思います。22兆円のお金を、ひょっとしたら50兆円のお金をかけないと福島を人が住める状況に戻せないのであれば、誰かが負担をしないといけません。ですから国会できちんと議論がされて、情報も全部出されて、最終的に議決されたら私たちは国民として市民として「そうしましょう」となると思います。だけど、それをせずに情報もきちんと出さずにいて、「自分たちはこう決めました」ということだけですることには反対だ、ということを私たちは言いたいのです。それがこの託送料金問題の一番根幹にあることだと考えておいて欲しいと思います。
 グリーンコープの中でも、例えば、100円基金は組合員にとって戻ってくるお金でも自分のために使われると決まっているお金でもないですよね。「100円基金をやるよ」と決める時には、総代会や、単協によっては組合員投票までして決めました。そうすることで、その後の10年後、20年後に加入した組合員が疑問に思った時にも、「こういうふうにして自分たちで決めた、毎月みんなで出し合う100円です」と、使う目的とか意義も含めて話せると思います。
 これまで原子力発電を続けてきたことの1つの責任なのですから、例え電気が国民のみんなにとって必要な大切な公共の財産であったとしても、事業として担っているところが、自分たちが起こした事故や自分たちが使ってきた建物の始末をつけるのがルールだと思うんです。仮に、グリーンコープの配達のトラックが大変な交通事故を起こして、保険などでは利かないような賠償をしなければならないとなった時には、当然グリーンコープがその責任を果たすでしょう。もし、通常の事業の利益では足りず組合員の出資金の中から一部それを当てなければならないような事態になったとしても、ちゃんと組合員に報告をし、総代会で承認を得られるようにすると思います。しかし今回の福島の事故に関しては、東京電力は会社としての責任を取られていないと思います。
 「使用済燃料再処理等既発電費」は、2005年にこの法律ができました。この法律は、「2005年以前に使用済み燃料の再処理をするとしたら、これだけのお金がかかっていたはずだが、法律がなかったから電気料金で請求していなかった。だから、その分をとります」というものです。「賠償負担金」についても、「2011年に起こったような、あんな過酷な事故が起きるとは誰も想定していなかったから、そのような事故が起こったときにかかるであろう賠償金を想定した費用を電気料金として貰っていなかった。だからその分を国民の皆さんから貰います」、というものです。「国民の皆さんから電気料金として本来貰うべき分を請求していなかったが、請求するのが必要だとわかったから貰います」という理屈で請求するのであれば、同じように、電力会社やその関係者がこれまで得てきた膨大な何十兆円という利益の中からそれを戻していくなど、なんらかの責任を果たしたのであれば、みんな「わかった。それでも足りないんだったら私たちも考える」ってなると思うんです。

 今話しているような、おかしいなって思うようなことがまかり通っている1つの前提が、そもそも電気料金のしくみの中にありました。
 電気料金は当然電気の使用量ということですが、あの料金がどうやって決められているかというと、「総括原価方式」という決められ方です。これは「かかる費用」(かかった費用ではなく、かかる費用)と「利潤」を計算して、それらを足した総額を使う人数で割って電気料金を割り出すしくみです。
 グリーンコープの商品の原価はそんなふうには決まりません。メーカー、生産者が「いくらぐらいで卸せる」っていうのを言ってきて、「80円で卸せるんだったら、100円の組合員価格にしよう、差額の20円の中で必要な費用が全部賄えて、3円残ったら3円の黒字になる。3円はみ出たら3円の赤字になる。3円の赤字を無くすためにどうするか」、ということでいろいろ考えます。グリーンコープに限らず、一般の事業体は、ほぼすべてそのやり方ですが、電気料金についてはそのやり方じゃなくて、かかる費用と利潤を最初に計算して料金を割り出すしくみ。これが「総括原価方式」です。
 必要性もありました。災害があった時、何よりもまず大切な水と電気とガスとそして道路と、とかいうふうになりますよね。電気というのは本当に大事です。したがって、日本が戦争に負けて社会を復興させていこうという時に、電気に関わる事業をとても大切に育もうとなりました。電気を担う会社の経営が傾いたらいけないから、会社がちゃんとやっていけるように費用と利潤は計算して、それで皆が納得できる料金であれば、それを認めるというしくみです。そんなふうに70年来たから大きな停電も起こさず、日本がこれだけ経済を遂げる中で電気の需要が賄えてきたことは確かです。電気使用量と発電量は1990年代初めのバブルがはじけて以降、ほとんど伸びなくなっています。2011年に東電福島第一原発の事故があって以降、使用量も発電量も下がっています。電気が足りなくなる足りなくなるとそれまでずっと言われてきたけれども、50基の原発が全部止まってもみんなが使用を抑えたこともあり、大丈夫だったんです。それはある種、総括原価方式の功の方です。
 しかしこの方式だと電力会社はあぐらをかきます。だって、どれだけ費用をかけようと考えても全部料金で回収できるわけです。九電の70年分の有価証券報告書を見たのですが、最たる例は広告宣伝費。バブルがはじけて以降も、毎年100億円使っているんです。さすがに事故後は年間15億ぐらいに減っていますが。本当は、極論すれば広告宣伝費はゼロでも良かったんです。競争相手はいませんでしたから。
 後ですね、発電所。例えば玄海1号機は400億円ぐらいで40年前に計画されました。何年か後に完成した時には500億円と、100億円増えていました。2号機にいたっては、同じく410億円ぐらいで計画されて、それが何年か後には3倍の「1300億円総工費がかかりました」、となりました。計画の3倍以上です。こんなことは通常の企業では許されないのではないでしょうか。そんなずさんな計画でやったら、総代会や株主総会でお叱りを受けたり途中でやめるべきだというふうになると思います。
今足りない費用についても同じような考え方で、みんなから貰えばいいっていうふうに電力会社も経済産業省もなっているんだと思います。
 2020年に電気料金からこの「総括原価方式」のしくみはなくなります。まさに各社が、今の電話と同じように、自分たちで料金プランを全部して競争しあいます。ところが「託送料金」は、電線を守るという名目のもと「総括原価方式」が残されます。残されるに伴ってこのような費用が入るということです。

 私たちは、このようなことを自分たちで調べて知ることができたので、組合員に、「そうしたことは、良くないのではないか」と投げかけるとすると、組合員の中にも2割くらい「原発は必要」と思っている人がいるかもしれませんから、そんな人と会話をしていきたいと思います。このまま2020年にこれが具体化されることになり、国も九電も態度が変わらないということで、最終裁判に訴えるとなった時には、組合員がこのことを新聞で知るような事態ではいけませんから、組合員がちゃんと知った状態で臨みたい。それぐらい大事な問題です。もし裁判になって勝てば、あるいは裁判以前にこの制度がなくなれば、膨大に増え続けていく原発の費用をどこからとるかについて、最終、原発の電気を使う人の電気料金でするしか方法なくなります。それでも原発が必要という人は、その料金を出すかたちになるかもしれません。みんなが自分たちの電気はどうありたいかということを決められるということになるならば、暮らしを脅かす側面での原発の今後が押しとどめられる可能性が出てきます。
 最後にお伝えしたいのは、皆さんは、今日聞いたことを覚えこんで誰かに伝えようとは絶対しないほうがいいということです。言う方も言われる方もいやですから。それよりも、「今日聞いた中で、私はこんなふうに思った」とか、「この点だけは、自分はこう思う」、ということを組合員同士で話し合うことが第一歩じゃないかなと思います。以上です。

 

<感想・意見など>
・総括原価方式が一番の問題だと思いました。わかっているようで、知らない人はたくさんいると思いますが、そこをどう知らせていくべきかとかいうところも問題なんだろうと思います。今日、数字を聞いてびっくりしたのは、託送料金の中の役員給与が費用総額の52%も占めているということです。あらためて勉強させていただきました。
・学習会で学んだことを私たちが語るべきではない。しかし、自分たちが感じて、こう思うということは伝えていっていいんだよ、と言っていただいたのは、ホッとしました。
・24時間365日原発のことを考えて暮らすわけにはいかないけれど、この問題はいろいろなことをいろいろな人が考えていくのがいいと思います。

 

 






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